803名無しさん@おーぷん2015/08/05(水)22:57:09ID:OM8
人がファンからアンチ、最終的に狂人と化す様を見聞きしたのが衝撃的だった。

私と大学以来の友人Aは共に読書が趣味で、在学中から好きな小説について語り合ったり、
お勧めのものを貸し合ったりしていた。卒業後も月2回以上は会う仲だった。

あるとき、私たちはとある女性作家の作品と出会った。
その作家の作品は少々癖があり、好き嫌いが分かれるのだけど、私とAはどんどんはまっていった。
作中には複雑な事情を抱えた一癖も二癖もあるキャラクターが数多く登場するのだけれど
自身も家族関係で苦労してきたというAは
「この感覚が分かる人ってなかなかいないと思う。彼女は本物だ」と感動しきりだった。

お互いに社会人となって数年たったあるとき、地元でその作家のサイン会が行われることになった。
勿論喜び勇んで半狂乱で会場へと向かう私とA。
本や雑誌の対談等で写真で見ることはあっても生で彼女を見たことは一度もなかった。




804名無しさん@おーぷん2015/08/05(水)23:01:37ID:Jny
>>803
へー
そりゃあ衝撃的だね




805名無しさん@おーぷん2015/08/05(水)23:02:39ID:OM8
実際に見た彼女は、想像と違っていた。
作品の雰囲気もあって、中性的で少し斜に構えた、冷たい感じの美人を想像していた。
けれども、実際の彼女は、明るく、幸せそうな方だった。髪の毛も見知っていた写真よりも長くて
女性的。声も結構高かった。
ちょっと面食らったけれども、私たちの番になったとき、彼女は優しく声をかけてくれて、感じが良かった。

まあ、イメージは崩れたけど、あれはあれで魅力的だと思い、私は満足だった。
だが、Aはサイン会の会場から出たのち、ずっと不機嫌だった。
理由を聞いても、「疲れただけ」と言うだけで、とりあえず新作読むの待ちきれないねーと言ってその場はお開きになった。ちょっとイメージと違ったのがショックだったのかなあ位にしか思わなかった。




806名無しさん@おーぷん2015/08/05(水)23:06:28ID:OM8
それから翌週の休日Aからお茶に誘われた。当然新作を読破していた私はいつものように語り合えると
期待しながら喫茶店に向かった。新作は期待通り、読み応えがあるものだったから。
が、Aの口から出るのは新作への批判ばかりだった。今までの作品と比べるとテンでダメ、
あのシーンでああいった行動をとるのはあり得ないetc.…。
何が良くないかを顰め面で理論的に2,3時間連続で口をはさむ間もなく語り続ける。
過去の作品と比べてここが劣っている、この展開は前と一緒だ…etc.…
まあ、納得できる言い分ではあったけど、それを言ったらお終いなんじゃ…というようなことまで。
感想は人それぞれだし…と悲しかったけれども自分に言い聞かせながら帰宅した。

帰宅後、それでも誰かと感想を共有したかった私は、ネットで新作の評価を調べてみた。
掲示板での評判は概ね好評で、なんだかほっとした。




807名無しさん@おーぷん2015/08/05(水)23:15:23ID:OM8
けれども、掲示板で長々と細かく批判している人がいた。
しかも書いてあることかAが言ってたこととほぼ一緒。
え、まさかAが書き込んでいる?いや、同じような感想を持っている人もいるだろうし…。
その長々とした批評に対して掲示板の人たちは
「まあ、正論だな」「よく分かっていらっしゃる」「相当読み込んでるねー」等々受け入れていた。
しかし、その人物の投稿は延々と続いた。しかも内容が、徐々に作家本人への人格攻撃へとシフトしていっていた。
人生経験の浅さがにじみ出ているとか。
「しつこい」「嫌なら読むなよ」「そこにケチ付けたらそもそもこの人の小説よめないだろ」と他の人からも嫌がられ、最終的に無視されていた。
掲示板外にも個人の読書感想ブログにも同一人物と思わしき書き込みが見られて、嫌な気分になった。

数日後Aに別件で電話をしたのだけど、その時「ネットで新作の評判調べたら、Aと全く同じこと言ってる人がいたよー」と言ってみた。すると電話口から「それ、私!!」とうれしそうな返答があった。

曰く、あんな駄作を皆が評価しているのが許せなかったんだと。掲示板やブログ等、発言できそうなところには
色々批判して回ったそうな。「皆、私の考えに納得してくれたみたいなんだよねー」と嬉々として語るA。
いや、それ皆あきれて無視しただけでしょう。




808名無しさん@おーぷん2015/08/05(水)23:17:19ID:OM8
最終的に私とAは喧嘩別れをした。
あれ以降も何度も遊ぶ機会があったのだけど、Aはひたすら例の作家さんの悪口ばかり言い続けた。
別の作家さんや作品の話を振っても、最終的に例の作家さんへの批判に戻る。
ドラマや芸能関係、世間話、仕事の愚痴…何を言っても作家への批判へ。
しかも、最近の作品のみならず、あんなに絶賛していた過去の作品まで批判する。

うんざりして「そんなに嫌いなら読むのやめなよ」と言ってしまった。すると
「何を読んでどう感じようと私の勝手じゃない!」といきなり怒鳴った。喫茶店で。
そして作家さんのファンである私を罵倒してきた。嫌になって会計済ませて逃げてしまった。
それ以降Aと連絡を取り合ってはいない。

庇うようだけど、Aは決して変な人じゃない。
むしろ良くできた人だ。美人でそつなくて、仲間内でもかなり信頼される人だった。
いい企業に入って、素敵な恋人もいた。

Aと絶縁して数年、ある日いきなり大学時代の友人から電話がかかってきた。
「いったいAはどうしてしまったんだ!」と。




1001オススメ記事@\(^o^)/2018/03/15 20:01:00 ID:syurabattle